「海外営業って憧れるけど大変そう…実際はどうなの?」
「海外営業のやりがいって?」
こんな疑問にお答えします。
私は大手日系メーカーで海外営業職について約10年経ちました。
海外営業と聞くと
「海外出張で世界を飛び回る」
「グローバル感覚を養える、転職に有利?」
「いずれは駐在員になれる?」
など、なんとなく良いイメージばかりが先行しがちですね。
ただ、正直なところ、そのイメージのまま仕事につくと結構しんどい未来が待っています。
正直なところ、大手日系メーカーにおける海外営業は、職種名のイメージと実際仕事内容のギャップが激しい職種の一つです。
この記事では、大手日系メーカー勤続10年を超える著書がこんなことをまとめました。
ココがポイント
- 海外営業で大変なことは?
- そもそもどんな業務なの?
- 海外営業のイメージとそのギャップ
- やりがい・メリットってないの?
※この記事では、「大手日系メーカーの海外営業」とくくっていますが、私の経験するケースということは、念のためご留意ください。
海外営業とは?なにが大変?
まずは、海外営業で大変なことを思い返してみました。
【海外営業で大変なこと】「海外」に関連する「なんでも屋さん」になりがち
全てとは言えないですが、メーカーにおける海外営業職は
「海外」と名のつく業務は、たとえ営業活動と関係なくでも、なんでも振られてしまう
可能性があります。
「グローバルに対応進んでます!」「海外売上比率が多いです!」といった会社でも社内のグローバル対応はなかなか進んでいないのが実情です。
依然日本は、英語・海外に苦手意識を持っている人が大多数で、それは会社という組織の中でも同じです。
では「なんでも屋」っていったいどういうことか、具体例を挙げますね。
- 英語で電話がきたら、内容の確認もなしに、とりあえず全て海外営業に回される。よくよく聞くと、設備の売り込みなど営業に関係ない話…。
- なんでもかんでも、「英語得意でしょ?とりあえず全部翻訳して」と丸投げの依頼がくる。
- 海外の研修生が来る際の宿泊先の手配、空港のピックアップなど身の回りのお世話。
- ビーガンのお客さんが来るけど、日本料理が食べたいというので、鰹節使ってない料理を提供してくれるレストランを必死に探す。
- 役員・幹部の海外出張時のお土産探し。
- 他部署の海外出張予定者のビザ発行お手伝い。
上記の例はほんの一部ですが、ただ一般的な傾向として、「海外」「英語」とつくと、その瞬間になぜか「海外営業」の仕事になってしまう傾向は非常に強いです…。
特に日系の会社においては、会社の売上に直接的に貢献できたり、本来の職務に関連する業務に携われるのは1日のうちごく一部でしょう。
ただその中でもこの「海外営業」に関しては、普段から意識を高く・強く持って業務をしないと、事務に毛の生えたような「海外のなんでも屋さん」的な仕事で1日が終わることもあるので要注意です。
【海外営業で大変なこと】客先と休みがあわない
海外を相手にしているので当たり前ですが、日本のお休みと客先のお休みがあいません。
このご時世、「休日も客先にあわせて仕事をしろ!」というのはあまりないです。
ただ正直何がこまるって、休み明けのメールの多さです。
お盆休みや年末年始も現地は動いているので、メールはバンバンとんでくるんですよね。
仕方ないことではありますが、休み明け初日に大量のメールがあるのは、結構憂鬱です…。
【海外営業で大変なこと】外国語は話せて当たり前、特に英語はできないと話にならん
英語や何かの外国語に長けていないと、部署内で存在価値を見出すのが厳しいです。
社外メールなどのやりとりは、英語を含む外国語になることがほとんどです。
日々の業務内でのコミュニケーションツールになるので、言葉がわからないと、一通のメールを返信するのも時間がかかり、業務効率が下がります。
会議の議事録とってと言われても、何を言ってるかわからず、ちんぷんかんぷん…
こんな状況は、働いている本人が一番つらいと思います。
「海外営業に配属されるけど英語ができない・・・」
という方はいち早く英語を勉強しましょう!
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【海外営業で大変なこと】名前のきらびやかさと実際の業務のギャップが激しい
後ほど詳しく説明しますが、大手日系メーカーにおける「海外営業」は
- 資本関係のある海外子会社とのやりとり
- その海外子会社の販売支援業務
といった「間接営業」であることが多いです。
海外営業の名前に惹かれて配属された新人さんの一番のギャップはこの点ではないかと思います。
海外市場において、実質的な営業活動を行っているのは、海外の子会社や現地スタッフです。
そのため、その現地の関係会社の販売支援や管理的な業務が主であることが多く、「売上を伸ばすために海外出張へ!」といった機会はなかなか得られません。
名前からはあまり想像できないですが、海外子会社を統括するような「管理業務」も多く、社内調整・根回しなど、成果の見えにくい泥臭い業務がほとんどです。
【海外営業で大変なこと】ユーザーから遠いので、マーケティング感覚を養いにくい
「営業=マーケティングに長けている」と思われがちですが、大手日系メーカーにおける海外営業は一番ユーザーから遠い仕事だと思っておいたほうが無難です。
上述したように、大手日系メーカーにおける海外営業職は、海外にある子会社とのやりとりが多く、海外ユーザーへの営業・販売は海外子会社の現地スタッフが行っています。
そのため、ユーザーの声に直接触れる機会はそうそうなく、管理的な業務が多いです。
若いうちから「ユーザーに近い仕事を!」と考えているのであれば、「国内営業」のほうがより適しています。
海外営業とは?大変らしいけどどんな仕事内容なの?
あくまでわたしの勤務先の例ですが、日系大手は大体この手のものと考えて良いと思います。
海外営業の仕事内容は「間接営業」と「直接営業」がある
大手メーカーに関しては「間接営業」と「直接営業」の二つがあります。
- 間接営業:「本社⇄海外子会社(資本関係のあるグループ企業)⇄販売店など」
- 直接営業:「本社⇄資本関係のない取引先など」
新人さんは、大体、「間接営業」からのスタートですね。
この場合、海外のユーザー対応は本社と資本関係のある海外子会社の現地スタッフが行っています。
海外のお客さんと直接交渉して云々というのは「直接営業」のほうがイメージが近いです。
ただ、この「直接営業」は、ある程度経験を積まないと担当させてもらえないことが多いので、新人から任されることは難しいです。
海外営業の実際の業務内容はどんなかんじ?
これは間接・直接営業関わらずですが、こんな業務内容です。
- 商品の価格設定
- 納期調整(新製品導入時の供給タイミングの調整、カスタマイズ品の特急対応)
- 海外子会社の統制業務(経営管理、監査業務等)
- 海外の会社設立・撤退時の中心部署(契約折衝や関連部署との調整)
- 輸出業務・貿易管理対応
- 海外取引先からの注文処理
- 海外税務対策
- 海外子会社への技術移転対応
営業活動に繋がるもの以外にも、社内の管理・調整業務も非常に多いです。
海外営業のかっこいいイメージとそのギャップ
イメージとその実態について、わたしの勤務先の経験談ベースでお話しします。
海外営業ってかっこいい!出張とかで世界を飛び回るんでしょ?
大手日系メーカーの海外営業において、新人にはなかなか海外出張のチャンスは回ってきません。
逆に理系職(開発・生産技術)などは、比較的早くからチャンスを与えられている人が多いです。
なぜなら、ユーザーが価値を置いているのは「日本メーカーの技術情報」であることがほとんど。
そのため、その情報を持っている・取り扱っている理系職(研究・開発・生産技術など)に海外出張などの機会が多く与えられがちです。
ただ最近では、「トレーニー制度」を積極的に取り入れている会社が増えてきました。
トレーニー制度とは?
▶︎若手社員を勉強させる目的で、数ヶ月〜1年ほどの一定期間、海外支社に送り込む制度
文系出身で、早くして海外と「直接」関わる仕事をしたい場合は、このトレーニー制度を狙うのが早いです。
海外営業にいけば駐在の候補者になれるんじゃ?
日系メーカーは、「物を作ってなんぼ」の意識が根付いているので、理系職の立ち位置が強い場合が多いです。
海外の関係会社やユーザーにも、理系職の出張者が好まれます。
なぜなら日本のメーカーから一番得たい情報は「日本の技術」であることが多いからです。
そのせいか駐在候補者も理系職(生産技術や開発職)の人のほうがチャンスが多いです。
さらに、最近ではコスト・経費削減の観点からも、会社のローカライズ化を促進させるために、人事、経理、総務部門などは現地採用で補うことが進んでいます。
ただでさえ、狭き門の駐在で、文系職でチャンスを得るのはなかなか難しくなってきています。
海外営業ではグローバルなマーケティング感覚が養える?
前述のように、ある程度の規模の日系メーカーになると、海外の営業活動は海外子会社が行います。
そのため、メーカーの海外営業職はユーザーから離れたところで仕事をすることが多く、自分から意識しないと、ユーザーの声に触れることができません。
会社の規模が大きくなれば大きくなるほど、この傾向はさらに強くなります。
そのため、よほど意識的に仕事をしていかないと、このあたりの感覚を養うのは難しいです。
海外営業につけばグローバル人材になれる?
ある意味「YES」である意味「NO」かもしれません。
海外と取引している以上、海外の顧客・社員とのやりとりが多いので、海外に対応する人材になるための気づきは得やすいです。
日々の取引も、海を超えたものになるので、貿易管理、国際税務など、取引を進める上で、国際的な観点から意識する点も増えてくるので勉強にもなります。
ただ、マインドという面では、その会社の社風や考え方が非常に大きく影響される部分でもあります。
特に日系メーカーは良くも悪くも、年功序列や終身雇用の空気が色濃く残っているところが多いです。(制度としてはなくなってきていても)
且つ、まだそういった世代の「日本のおじさんたち」が会社をコントロールしていることがほとんどです。
いくら海外売上が増えて、グローバル化が進んでいるとはいえど、社長や幹部、本部の社員が日本人で多く占められている以上、全ての社内文書が外国語対応しているわけでもないでしょうし、社食のビーガン対応なんてまだまだ先のこと…。
欧米、他のアジアの先進国と比較しても、日系メーカーのグローバル対応は遅れています。
なにをもって「グローバル人材」とするかは人それぞれです。
ただ、
「日系メーカーのグローバル対応は世界的にみても遅れている」
といった点を自覚をもって行動しないと、グローバルな感覚を持った人材になるのは難しいです。
海外営業のやりがいって?
ここまでは少しネガティブな面をお伝えしてきましたが、全くやりがいがないわけではありません。
海外営業は英語や外語語が活かせる
海外志向の強い方は「英語が活かせる」、「海外と触れ合える」というのはモチベーションの観点からいっても必須条件でしょう。
日々英語を使いますし、業務内容も必然と海外と関連したことになってきます。
新しい市場や、今まで興味持っていなかった国のユーザーとやりとりも、自分の知見を広げてくれるので、とても刺激になります。
海外営業は花形部署であることが多い
海外売上比率が高い企業であればこの傾向は強いのではないでしょうか?
海外とかかわる仕事ができているということが出世の条件というのが、暗黙の了解になっている場合もあります。
あとなんとなく「海外営業」って響きがかっこいいですもんね。
この雰囲気に流されて、なんとなく周りの人から花形部署と認識されやすいという面もあります。
海外営業は大きい規模の仕事が多い
例えば、国内営業であれば、東京担当、大阪担当など地区別に担当が振り分けられることが多いですが、海外営業となると、だいたいエリア別の担当が振り分けられることが多いです。
そうなると、取り扱う金額・影響力も、国内営業のいち担当者よりだんぜん大きくなります。
中でもやりがいがあるな、影響力があるな大きいなと思うのは、
- 海外子会社の設立
- 海外取引先の買収
といった業務です。
いずれも、その会社の組織内容にもよりますが、このような海外の大口案件は海外営業が中心となって進めることが多いです。
海外に会社を設立するのであれば、現地の法律、輸出・輸入規制など、いろいろなことに意識を張り巡らせならが、様々な部署と協力して、一つの会社を作り上げていくことになります。
規模や影響力も大きく、更には一筋縄ではいかないことも多いので、達成した時には大きなやりがいを感じることができます。
海外営業って大変?まとめ
ココがポイント
- 大手メーカーにおける海外営業職は、イメージと実際の業務内容にギャップがある場合が多い
- ①業務範囲の広さ、②休みが客先とあわない、③語学は必須、④イメージと実際の業務内容のギャップ、⑤ユーザーから遠い、といった点で大変なことも多い
- 海外営業には「間接営業」と「直接営業」がある。新人はだいたい「間接営業」からスタートすることが多い
- ①海外志向が強い人、②花形部署に憧れる、③規模の大きい業務に関わりたい人にとってはマッチする職種
あくまで、わたしの勤務先をベースにした内容ですが、大手日系メーカーはどこも近いような雰囲気があると思います。
働く前と後でギャップが強いとなかなかつらいので、事前に社内で相談できるような人を見つけられると良いですよね。
職場環境に関しては、自分の力だけで状況を変えるのは難しいですが、ただ一つ「英語力」に関しては、自分の力でどうにか改善することができます。
このブログでは、英語の勉強に関連する記事もいくつかまとめているので、ぜひ参考にしてください。
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